zton2021の曖昧日記

日々思うことを書きます。数学は学習メモとして、勉強したこと、思うことを一生懸命書いていますが間違い勘違いも含むかもしれません。間違いに気がついた時点で、加筆修正するつもりです。(注)数式はMathMLで表記し、Safariで表示を確認しています。Safari以外のブラウザでは表示がおかしいことがあるようです。

ガロア理論曖昧メモ6(ガロア拡大続き[補題1])

一般論としての次の補題1の証明について考える。

[補題1](注1)(注2)

体K1と体K2が同型であり、その同型写像をπとする。

K1上の既約多項式 f1(X) とK2上の既約多項式 f2(X)がπ(f1)=f2 を満たすとする。(f1のK1係数をπでK2係数に写し変えたものがf2に等しいとする) 

f1(X)とf2(X)の根 θ1とθ2について、それぞれを体K1とK2に追加した拡大体K1(θ1)と K2(θ2)をつくると、これらは同型であり、その同型写像σとして、σ|K1=π、σ(θ1)=θ2  なるものが存在する。

[証明]

K1(θ1)の元λはK1係数のθ1の式である。σ(λ)をλ中のθ1を機械的にθ2に置き換え,K1の元をπでK2の元に写し変えたものとする。(σ|K1=π)

このσが求める同型写像であることを示す。

まず、σがwell definedであることを示す。

K 1 θ 1 λ = A θ 1 B θ 1 , ζ = C θ 1 D θ 1  , B θ 1 0 , D θ 1 0  ,  A X , B X , C X , D X ∈  K 1 X

λ=ζ とする(表現形式が異なるものとする) このとき、

A θ 1 D θ 1 - B θ 1 C θ 1 = 0  

であり、f1(θ1)=0 ,f1(X)は既約であるから、K1係数多項式S(X)が存在して、

A X D X - B X C X f1(X)S(X)

とかける。

π(f1)=f2であり、A(X),B(X),C(X),D(X),S(X)をπで写し変えたもの(K1係数をπでK2係数に写し変えたたもの)をa(X),b(X),c(X),d(X),s(X)と書くことにすると

a(X)d(X) - b(X)c(X) = f2(X)s(X)

f2(θ2)=0 より

a(θ2)d(θ2) - b(θ2)c(θ2) = 0  (1)

ここで、b(θ2)≠0 なぜなら、もし b(θ2)=0であれば、f2(θ2)=0 ,f2(X)は既約であるから、K2係数多項式t(X)が存在して、

b(X)=f2(X)t(X).    ここで π:K1→K2 は同型であり、π(f1)=f2であるから、逆像をとって B(X)=f1(X)T(X)  ただし、π(T)=tとする。

したがって、B(θ1)=f1(θ1)T(θ1)=0 これはB(θ1) ≠ 0に反する。したがってb(θ2)≠0 同様にd(θ2)≠0

したがって、(1)より

a θ 2 b θ 2 = c θ 2 d θ 2

θ2=σ(θ1) 、σ|K1=π だからこの等式は、σ(λ)=σ(ζ) を示している. したがって、σ:K1(θ1) →K2(θ2) はwell defined

σ|K1=π、σ(θ1)=θ2  で、πは同型写像だから、σの作り方から、σは和と積を保存し、全単射となる。

従ってσは求める同型写像である。

[証明終]

 

σは元々は、式の中のθ1をθ2に置き換え、それ以外のK1の元は同型写像πの像で置き換えるという機械的なものである。式全体に作用させるには、その中に出てくる演算子で括られた個々の塊の隅々まで機械的に作用させることになる。そのため、自然に和と積を保存していることになるし、逆の作用も同様に機械的であるので、全単射(まだ写像と認識していない時にこう言う表現は変であるが)にもなっている。ただこの機械的な作用が写像になるためには表現形式によらないことを確認する必要があり、それが面倒。

ごく普通の結合法則、分配法則、交換法則などだけで式変形して表現形式が異なっているのなら話は比較的簡単だろうが、f1(θ1)=0,とf2(θ2)=0という条件を使っての表現形式の変形があるので難しい。

たとえば、

   2 2 + 1 = 2 + 2

であるが、有理数2は変えずに両辺の  2 を   3 に置き換えて

   3 3 + 1 = 2 + 3

としてはいけない。

  2 3   はその出どころの多項式が  X 2 - 2  と  X 2 - 3  と別だからですね。

出どころの多項式が同一の  - 2 になら置き換えて

   - 2 - 2 + 1 = 2 - 2

としても正しい。(注3)

 

証明を丁寧に書いていると、当たり前のことをクドクドと書いているような気がしてくる。きちんと書こうとすると骨が折れるし、勘違いや記述間違い、考慮漏れが混入しそう、、、、

 

(続く)

 

(注1)

色々と多項式が登場するが、それが既約でなければならないのかどうかは、だんだん曖昧になってくる。

ここでは、f1(X)とf2(X)は既約でなければならない。既約だからこそ、体を拡大した範囲で共通根を持つ多項式を割り切れる。

理由:

Kを体とする。K[X]の元f(X)が既約とする。

K[X]の元g(X)について、f(X)は既約であるから、K係数の範囲でf(X)とg(X)は互いに素であるか、あるいは、f(X)自体がg(X)の因子である。

 

今、Kを拡大した体K‘の中でf(X)とg(X)が共通根θをもつとする。(K=K‘でも良い)

もし、K係数の範囲で、f(X)とg(X)は互いに素であるとすると、ユークリッドの互除法より、K係数の範囲で、多項式h1(X)、h2(X)を求めて

  h1(X)f(X)+h2(X)g(X)=1

と出来る。この式はK‘係数の範囲でも成り立っており、X =θを代入すると、θがf(X)とg(X)の共通根であるから、0=1となり(今考えている体Kは普通の体だから)矛盾。

したがって、共通根を持つなら、f(X)はg(X)の因子、つまりg(X)=f(X)s(X) となるK係数多項式s(X)が存在する。

・・・・根θを考えた時点で(係数体の範囲をK‘まで拡大した時点で)f(X)は既約では無くなる。見かけ上同一の多項式でも、係数体をどこで考えているのか、意識して議論するので面倒ですね・・・

(注2)

θ1がK1の元の時は、f1(X)は一次式、この時、f2(X)も一次式になり、θ2はK2の元

f1(X)=a1X-b1, f2(X)=a2X-b2 とすると、π(f1)=f2より、π(a1)=a2, π(b1)=b2

θ1=b1/a1 だから、π(θ1)=π(b1)/π(a1) =b2/a2 =θ2

つまり、π(θ1)=θ2となるので、σ=πとすれば補題は成り立つ

 

 

(注3)

有理数体Qに多項式  X 2 - 2 X - 1  の根  α = 2 + 1 を追加する」という書き方も本来おかしいのかもしれない。

これでは、 2  を知っていることが前提になってしまう。

あくまでも、「有理数体Qに多項式  X 2 - 2 X - 1  の根 αを追加する」とだけ書かねばならない。

Q(α)の中に  2  は無い。在るのはαー 1である。

Q(α)に X 2 - 2  の根(   2  と名付ける)も追加してやると、 Q α , 2 = Q 2  となるので、αはあってもなくても変わりなくなる。

やはり、理解しやすい基本的な多項式の根(冪根など)は先に追加しておくと良いようだ。

一方で、有理数Q係数の多項式の根(Qの代数的数)をいくら追加して行っても実数全体にはなれない、、、