zton2021の曖昧日記

日々思うことを書きます。数学は学習メモとして、勉強したこと、思うことを一生懸命書いていますが間違い勘違いも含むかもしれません。間違いに気がついた時点で、加筆修正するつもりです。(注)数式はMathMLで表記し、Safariで表示を確認しています。Safari以外のブラウザでは表示がおかしいことがあるようです。

ガロア理論曖昧メモ4(代数拡大)

f(X)はn次元K係数多項式、その根を  α 1 , α 2 , , α n とするとき。

L = K ( α 1 , α 2 , , α n )   はKの代数拡大で、ガロア拡大でもある。

つまり、Lの全ての元は、なんらかのK係数の多項式の根になっており〜(1)、

また、その元の共役元((1)の他の根)は再びLの元である。〜(2)

(1)、(2)ともに、いろいろな文献で、十数行で簡潔に証明されている。それらを丁寧に議論を追ってみても、すぐ忘れてしまう。直接的な証明でなく、一見どう絡んでくるのかよくわからない補助定理たちを綿密に準備し、証明する。鮮やかすぎて正しいのかどうなのか判然としない。以下は、私が読んだ文献で分かりやすい、と思ったものの学習メモである。

 

(1)について;

LをK上の有限次元ベクトル空間と考えて、証明する。

まず

   L = K α 1 , α 2 , , α n = K α 1 , α 2 , , α n    

 が成り立ち、そして、LはK上の有限次元ベクトル空間となる。〜(注1)  (注2)

LのK上のベクトル空間としての基底を  v 1 , v 2 , , v l とする。

Lの任意の元θがK係数多項式の根であることを示す。

各i について  θ v i  はLの元だから、K係数の一次結合として

     θ v i = j k i j v j

と書ける。したがって

    A i j = k i j i j

    A i i = k i i - θ

    M= A i j

    V = v 1 , v 2 , , v n T

とおくと、

   MV=0   

が成り立ち、Vはゼロベクトルでないので、Mの行列式は0でなければならない。これはθがK係数多項式の根であることを示している。

話が長くなるので(2)のガロア拡大については、続く

(注1)

丸括弧は有理関数体、角括弧は多項式という違いがある。

いつでも有理関数体の元の分母を1に「変形できる」と言っているだけで、Lの元に対する写像がwell definedであることを議論するときは、有理関数体の方で議論する必要がある。なぜなら表現形式の(変形の)如何に関わらないことを議論する必要があるためである。

 

(注2)

実際は、α 1 , α 2 , , α n は共通した一つのK係数既約多項式の根である必要はない。それぞれ別々のK係数多項式の根であっても一般的に成り立つ。(既約である必要もないし、全ての根を網羅している必要もない) 。前提条件を緩めた方が証明がしやすくなる(条件に惑わされなくなる)ようだ。

以下 α i は K係数多項式 f i X  の根とする。

g(X)を  f 1 X の既約因子(K係数多項式)で   g α 1 = 0 を満たすものとする。

g(X)がK係数一次式ならば、 α 1  がKの元ということだから、  K α 1 = K = K α 1  。  以下そうでないとき( α 1 K  のとき ) を考える。

K α 1   の元はK係数の多項式A(X),B(X)を用いて、 B α 1 A α 1   ---(*)として表される。 A α 1 0 であることと、g(X)がK係数既約多項式であることから、A(X)とg(X)は互いに素となり、ユーグリッドの互除法より

    H X A X + I X g X = 1

を満たすK係数多項式H(X), I(X)を求めることができる。 g α 1 = 0 より  H α 1 A α 1 = 1 したがって(*)の分母分子に  H α 1 をかけて、分母を1にすることができる。

つまり、 K α 1 = K α 1

上記の「K係数」を前提としているところ全て「  K α 1 係数」と読み替えると、同様に K α 1 α
= K α 1 α 2

= K α 1 α 2 = K α 1 , α 2   つまり、 K α 1 , α 2 = K α 1 , α 2   が証明できる。

以下これを続ければ(厳密には帰納法を使って) L = K α 1 , α 2 , . . . α n = K α 1 , α 2 , α n   を証明できる。 

さらに、 f i X   は有限次元であり、 f i α i = 0   を利用すると、Lの元であるK係数多項式の各項の α i の次数を
    d e g f i - 1   以下に減らすことができる。
結果として、Lは{ α 1 k 1 α 2 k 2 α n k n  }で生成されるK上の有限次元ベクトル空間となる。各 k i は  d e g f i - 1 以下である。基底の独立性も上記と同じように(厳密には帰納法を使って)証明できる。もちろん、基底を選ぶときは、必要なものを選びなおす必要がある。