zton2021の曖昧日記

日々思うことを書きます。数学は学習メモとして、勉強したこと、思うことを一生懸命書いていますが間違い勘違いも含むかもしれません。間違いに気がついた時点で、加筆修正するつもりです。(注)数式はMathMLで表記し、Safariで表示を確認しています。Safari以外のブラウザでは表示がおかしいことがあるようです。

ガロア理論曖昧メモ1(多項式の根の追加)

 昔から興味があって、関連書籍を手にとっては挫折を繰り返したガロア理論を本腰を入れて勉強してみた。良い時代になったもので、一つの文献なり書籍をベースに、その中の解説が理解できない時は、インターネット上で関連文献をあたり理解を進めることができる。

なぜ私がガロア理論を学ぶのが難しいのか

それはひとえに、細かいところが気になってしまうからである。

当然ながら、ガロア理論の解説書は、前提としている代数学上の知識がバラバラであり、細かいことにこだわると先に進めないので、例を上げて、一般論を簡単に説明して議論を進めることが多いように思う。最初のうちは順調に読み進めても、後ろの方で、それがネックになり議論がわからなくなり、頓挫するのである。以下、思いつくままに重箱の隅をつついてみようと思う。

 

ガロア理論の最初の方で、つぎのような例が挙げられることが多い。

有理数 Q 2 を追加した次の体を考える

   Q 2 = a + b 2 | a , b Q   ~(1)

 

なるほど、体だから、分数の形の元も、分母の有理化を行えば、この形になるだろう。

しかし、これは、 2 に馴染みがあるから分かるような話だなぁ、と思っていると、次のより一般的な解説が出てくる;

 

有理数係数の多項式環  Q X を極大イデアル X 2 - 2  で割って体

     Q X / X 2 - 2  ~(2)

を考える。これが(1) に対応する。

 

  X 2 - 2 で割り切れる多項式は全部0とみなしましょう、ということです。この意味で0で無い多項式 X 2 - 2  と互いに素だから、ユーグリットの互助法から、逆元を求めることができる((2)は体になる)わけですね。

 

2 はどこに行ったかというと、この新しくつくった体の元  X + X 2 - 2   がそれにあたる。この元をαと置くと、(2)の中で α 2 - 2 = 0 となる。もちろん 2は2+ X 2 - 2  , 0は X 2 - 2 のことである。そして、 - α 2 - 2 = 0 も成り立つ。

 

ところで、そもそも、 2 とは、実数における方程式  x 2 - 2 = 0    の2つの解のうち、正のものをこう名付けただけである。

(2)の元に正も負もないのでαとーαのどちら 2 をに対応させるかは不明である。(この事柄自体も、大事なことである、と説明されている解説本もある)

 

さらに、(2)を念頭に議論を続けていくのは扱いが面倒だからであろう、新たに次のような有理関数体が登場する。

 

Q X = f X g X | f X , g X Q X , g X 0 3

 


丸括弧と角括弧を使い分けて扱うが、分数の扱いは、ごく自然に分かるでしょう、という感じでしょうか。

しかし、これは一体何者?

一般的に整域(2元を掛けて零になるなら少なくとも一方が零という条件を満たす環)RについてRxR‘における同値関係(a,b)≡(a',b')をab'=a'bで定義し、RXR‘を≡で割ったものが有理体の一般的な作り方らしい。ただしR‘はRから零を除いたものである。 Rとして Q X を考えたものが(3)である。つまり

     Q X とは  Q X x Q X /≡ のことである。

この Q X のXに  2 を代入したものが、(1)となるというわけですが、集合としては全く異なる、3つの集合

   Q 2 , Q X / X 2 - 2 , Q X のXに 2 を代入したもの

が(体の同型写像を通して)同一視されているわけですね。

 

以上のような 有理数体Q の拡大体についての同一視は一般の定数係数の高次方程式の根を考える場合についても全く同様に行われる。

数学は同一視を自由自在に使いながら、議論を進めていく。このような同一視を当たり前のこととして軽やかに飛び越えていける人が、ガロア理論をさらりと読み進めていけるのだろうな、と思う。私は細かいことが気になって消化しきれず、その読み方は遅々として、途中で疲れて果ててしまう。

 

ちなみに、「 Q X のXに 2 を代入」して良いのか、とか、「一般の定数係数の高次方程式の根」をどう考えるのか、ということについてもいちいち気にかかり、キリがないのである。